会社に入ってから唯一の黒歴史。それを知られてしまったと思うと気まずい。
『君はなんだかんだ言って、危なっかしいところもあるが……俺の目に狂いはないはずだ。今日作ってもらった書類を見て確信した。君には他社の性質をみぬく観察眼がある。外回りの営業には必要なスキルだ』
「でも……私」
『君が俺の妻だからと言って贔屓目で見ているわけじゃない、あくまでも仕事上の話だ』
そう言われると言葉に詰まってしまう。本当にしたかった仕事ができるチャンスを目の当たりにしながら二の足を踏んでいる。
もう二度と、部署の人に迷惑をかけたくない。怖い。だけど……。
『実は、酔いつぶれて君が初めて俺のマンションにきた日があっただろう? あの時、覚えていないかもしれないが……君はうなされていた』
「え……?」
『河辺部長に何度も謝っている夢を見ただろう? それが気になってね』
は、恥ずかしい!! そんなこと寝言で言ってたなんて……。しかも剣持部長に聞かれていたとは!
「私、おっちょこちょいだし、何度もミスして河辺部長に怒られてたんですよ、いやだな、そんな変な寝言、本気にしないでくださいよ」
あはは、と乾いた笑いをして冗談で済まそうとしたけれど、剣持部長の声は笑っていなかった。
『君はなんだかんだ言って、危なっかしいところもあるが……俺の目に狂いはないはずだ。今日作ってもらった書類を見て確信した。君には他社の性質をみぬく観察眼がある。外回りの営業には必要なスキルだ』
「でも……私」
『君が俺の妻だからと言って贔屓目で見ているわけじゃない、あくまでも仕事上の話だ』
そう言われると言葉に詰まってしまう。本当にしたかった仕事ができるチャンスを目の当たりにしながら二の足を踏んでいる。
もう二度と、部署の人に迷惑をかけたくない。怖い。だけど……。
『実は、酔いつぶれて君が初めて俺のマンションにきた日があっただろう? あの時、覚えていないかもしれないが……君はうなされていた』
「え……?」
『河辺部長に何度も謝っている夢を見ただろう? それが気になってね』
は、恥ずかしい!! そんなこと寝言で言ってたなんて……。しかも剣持部長に聞かれていたとは!
「私、おっちょこちょいだし、何度もミスして河辺部長に怒られてたんですよ、いやだな、そんな変な寝言、本気にしないでくださいよ」
あはは、と乾いた笑いをして冗談で済まそうとしたけれど、剣持部長の声は笑っていなかった。



