クールな部長は溺甘旦那様!?

電話の向こうから車のクラクションや行き交う人の声がする。今、彼はどこにいるのだろう。会社を出たところだろうか、とあれこれ考えていると。

『さっきの話だけど、あんなところで言うつもりじゃなかったんだ。君を俺の営業補佐にするってこと……だから戸惑った顔してただろう?』

「ええ、びっくりしましたよ、なにも聞いていませんでしたから」

『もう少し後で正式に伝えようと思っていた。けど……影山があんなこといいだすから、つい』

「え?」

外にいるせいか、剣持部長の声がよく聞こえない。けれど、確かに今そんなふうに言ったように思えた。

「もしかして、補佐にするのってまた剣持部長の気まぐれですか?」

少し笑いながら冗談めいて言うけれど、剣持部長の声音は真面目だった。

『そうじゃない。君の過去の仕事ぶりを色々調べさせてもらった。実績をね、その上での俺の判断だ』

私の過去の仕事を? 調べた? じ、じゃあ、もしかして……私が大失敗したあのことも――。