クールな部長は溺甘旦那様!?

その当時、私は入社一年目にして営業成績は毎月トップで優秀な人材だと期待されていた。

河辺部長がまだ現役で私の上司として役職に就いていた時、彼が懇意にしている大手のブライダル専門アクセサリーメーカー“メフィーア”のCM契約の交渉に私が抜擢され、ほぼうちの会社で決定している話だと聞いていて安心していた。

けれど、そんな私の期待とは裏腹に、最終段階の打ち合わせに出向くと突然先方が話を白紙にして欲しい、と言ってきたのだ。話が白紙になると同時に私の頭の中も真っ白になった。先方の責任者の女性は確か前野さんという美人で人当たりもよく、このままうまく行くと誰もが信じて疑っていなかった。

それに、白紙にしたいという理由も「今後、いっさいアルテナ広告社には任せられない」といった一方的なもので、私も河辺部長になんて説明したらいいのかわからず、ひたすら頭を下げて謝ったのを今でも覚えている。それに、契約どころか取引先として先方を失ってしまったという部署内全員の失望した顔も……。