クールな部長は溺甘旦那様!?

「加藤さん、仕事では確かによくやってくれるし助かってるけど……どうやら俺のことが好きみたいでさ、ちょっとやりにくいんだ」

は!? なにそれ、それで担当を代えてくれって言ったの?

影山君は誰が見てもかっこいいし、要領もいいし好きになっちゃうのはわからなくもない。けれど、それは仕事とは別の話だ。

「先輩なら、公私混同しないことってちゃんと言いなよ」

「それ、松川さんが言う? 松川さんこそ、剣持部長のこと好きなんじゃないの?」

「ちょ、なんでそうなるのよ? まだ帰国して間もないのに、剣持部長のこと全然知らないし! あんな無愛想な人――」

ムキになった私が馬鹿だった。ハッと気がついた時にはすでに遅く、影山君はカマかけに引っかかったと言わんばかりにニヤっと笑った。

「言っておくけど、剣持部長の仕事大変だよ? 外回りにも一緒に連れて行く気だと思うけど……松川さんは外回りには向いてないよ、だってさ――」

「いいよ、言わなくたってわかってるから」

影山君は私の過去を全部知っている。元々外回りの営業だった私が、なぜ今は内勤をしているのか、それは一年前の出来事がきっかけだった。