クールな部長は溺甘旦那様!?

「完璧な仕事をこなすには、優秀な補佐が必要だ。それは君が一番よくわかっているだろう?」

「ええ。だから、俺には松川さんが必要なんです」

影山君も負けじと食い下がり、ふたりの間に不穏な空気が流れる。どうしていいか戸惑っていると、剣持部長が小さくため息をついて口を開いた。

「すでに担当がいるのに、その女子社員になんて言うつもりだ? 松川の方が仕事ができるから交代してくれって言って? それで彼女が納得するのか?」

「そんなの、なんとでも理由は付けられるでしょう?」

「君は部下に嘘をつくのか? それに、言い繕ったところで、本当のことはわかってしまうものだ。社員の士気を下げる行動は認めない」

剣持部長に言われて影山君が言葉に詰まる。そしてひとこと「わかりました」と顔を曇らせ自分のデスクに引き下がった。

剣持部長は堅物で人をあまり寄せ付けない雰囲気を持っている。そんな反面、ちゃんと部下の仕事のフォローはするし、誰も見ていないようなことでも必ず気がつく。今の影山君の申し出も、彼の担当の女子社員の気持ちを考えてのことだと思う。そんな剣持部長のひそかな優しさをいったいどれだけの人が知っているだろう。