青々とした新緑が芽吹く四月の下旬。ようやく冬の寒さも和らいできた今日この頃。

「よし! 今日の仕事は終わり!」

両腕をめいっぱい天井に突き上げるように伸びをして、ふぅっと脱力する。
大手広告代理店の営業として二年目の私は、残業も早々に切り上げてこれから彼氏と夕食デートへ向かうべく、書類などで散らかったデスクの上を整理していた。

「莉奈~これからデートなんでしょ? なんだか顔がにやけてるよ~」

同期である城田亜美シロタアミがツンツンと肘で突っついてくる。そんなふうに茶化されたって、動じない。なんせ今夜の私は機嫌がいいのだ。