「そうですか。おふた方、どうもご忠告ありがとうございました。いえ、問題ないですよ。中学生くらいの年の子は、たまに他人と差をつけたくて変わったことをしてみようなんて考えることがあるものですからね。私も先ほどは多少取り乱しましたが、そういうことであるのなら、今後は冷静に対処できると思います」
極めて紳士的社会人的応対。
割り切れば大概のことはできるってなもんだ。
人間、結末のある事柄には安心感を得られるもの。
その途方のなさから解放されるのだ。
おれの心はまさにいま解放された!
ここのところ重苦しかった気持ちは急に晴れやかになった。
自分でも単純だとは思う。
だが、それくらい白石のことはおれにとって頭痛のたねだったのだ。
白石には悪いが、ぶっちゃけてしまえば、あれは欲しくもない懸賞に当たってしまったようなもんだった。
だが、その懸賞が実はクーリングオフできるものだとわかったのだ。
こんな気楽なことはないだろう。



