つちかぶりひめ




「先に聞いておくけれど、どうして弟皇子様は春宮に就きたくないと考えておられるのだと思う?」


「それは…」


さくは言葉を詰まらせる。
そんな様子を見兼ねた祖母は、ため息を一つ零した。



「あんたが高貴な位を怖がったからだろう。位なんて関係なしに、弟皇子様本人を見てあげなかったからじゃないのかい?」


強く訴えてくる祖母に、さくはぐっと息を飲む。
あのとき、その位の高さに畏れを抱き、かしこまってしまった自分に対して、十夜は悲しそうに瞳を揺らしていた。


去り際のその顔を思い出し、さくの胸はギュッと締め付けられた。







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