若葉とさくの母…つくよは、この時世には珍しい恋愛結婚であった。
本来であれば、つくよは高貴な貴族の出であったため、若葉よりも位の高い貴族の元へと嫁ぐはずであった。
そのため、祖母はつくよのことを、高貴な姫として育て、慈しんできた。
けれども、そこへたまたま遭遇した中流貴族である若葉と接点を持ってしまったところから、つくよと若葉の恋は発展してしまったのだった。
当然、祖母も含めつくよの周りは若葉との結婚に反対し、何度も止めにかかった。
そして、最終的に祖母の「言うことを聞かないのであれば離縁する」という言葉を鵜呑みにし、駆け落ちする形で若葉の元へと嫁いでいったのだという。
「それなのに、お前を生んで死んだと聞いて、呆れていたんだよ」
祖母は、さくにつくよの面影を感じながら、若葉とつくよの出会いについて語ったのだった。
.


