涙をこぼすさくの背から手を離した若葉は、静かに部屋から退出する。 遅かれ早かれ十夜の正体が露見するとしても、今回そのタイミングを早めてしまったのは若葉である。 その不甲斐なさを深く実感した若葉は、ある決意を固めると、一筆したため、1人の遣いにそれを待たせた。 そして、その文が効果を発揮したのは、相手に文が届いてから数日後のことであった。 .