「さく姫、体調はどうだい?」

「お父様!だいぶ回復してきました」



額に乗せられた冷たい布を押さえながら、さくはゆっくりと体を起こす。


若葉は、そんなさくの背中をそっと支えた。


「皇子様は、さく姫と一緒にいるのがきっと楽しかったんだろうね」



若葉からしてみれば、知らない間に皇子様たちと自分の娘が繋がりを持っていたことになる。

さらに、自分が駆けつけて遭遇したあの一場面からは、弟皇子様の方が娘と良好な関係を結んでいたことが安易に読み取れた。


しかし、自分の一言で弟皇子様とさく姫の仲は崩壊してしまった。


そんな己の情けなさを痛感し、何か娘のために力になれることがないかと考えた結果、若葉はさくを支えるために、同じ男として感じた十夜の気持ちを率直にさくに伝えるのだった。




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