若葉が仕事へと出向き、さくもこそこそと準備を整える。

少し大きめの傘帽子を被り、動きやすい服へと着替えると鈴にバレないようにこっそりと裏口の扉から外へと抜け出した。



「さく姫様、また抜け出してきたの?」

「ええ、そうなの!鈴とお父様には内緒ね!」


本来であれば結婚適齢期の姫は簡単に顔を見せてはならない。流石にこれは守った方がいいのだろうと考えたさくは、一応傘で顔を隠しては度々村へと遊びに出ていた。


今日はどこに行こうかと考え、ふと山の方を見る。山を超えた先には帝のいる宮が居を構えており、あまりそちらの方へは行ったことがなかったと目を輝かせたさくは、傘を被りなおして向かって行った。




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