ようやく初日の面談を終えて、自宅へと帰ってきた。
仕事帰りに寄ったから、すっかり遅くなってしまった。

「はあ……やっぱり人と話すのは緊張するなあ」

築25年の古いアパートの天井を見上げながら、私はベッドの上で深くため息をついた。

私に結婚なんて出来るのかな。
勢いで結婚相談所になんて駈け込んでしまったけれど、その前にこの対人恐怖症を何とかしなければ。

でも、どうやって…。

何どもため息をついているうちに、私はいつの間にか深い眠りについていた。


…………


翌朝、
けたたましいアラームの音で目を覚ました。

うわっ、いけない!
昨日はメイクも落とさすに寝てしまった。

こんな地味でスッピンのようなメイクでも、30を迎えた私の肌には大打撃だ。

ベッドから降りて、慌てて洗面台へと向かう。

鏡の前でメイクを済ませ、黒縁の大きな眼鏡をかける。
度は入っていないけれど、私には大事なアイテムだ。

黒髪を後ろにギュッと縛り、いつもの私が出来上がった。