オオカミ彼氏

声をかけようにもかけれず、固まっていると、



「何かあったんですか?」



私の後ろにいた桜庭くんが2人に声をかけてくれた。


すると、お母さんが振り返り、



「さっき、庭でイノシシが暴れてたのよ。それで、あの窓に突進してきて…」



お母さんが目を遣った場所を見ると、見事にガラスの破片が飛び散っている。


二重窓のため、なんとか残りの1枚は割れずに残っているようだ。



「…そのイノシシが、まだ庭にいるのよ。次いつ突進して来るか分からないし、もしかしたら今度こそ家の中に入ってくるかもしれないし…」



震えるお母さんの声。



「…そのためにコイツがあるんだ、大丈夫だ」



そう言ってお父さんは銃を構えた。