あれだけ毎日校則違反があーだこーだ言ってるヤツが、家出の手助けなんかする!?


こんなの何か裏があるとしか思えない!


『だ、大体、アンタの家の人にだって迷惑がかかるでしょ!?私だって変な目で見られるのなんて御免なんだから!』


『問題ない。俺は一人暮らしだ』


『ひ、一人暮し?』



って、なおさら問題だわっ!!



『あ、ああああんたと二人きりで暮らせっての!?!?バカじゃない!?本当にバカなんじゃない!?』


『さっきからグダグダとうるさいヤツだな。じゃあなにか?大人しく家に帰るのか?それともここに野宿して、さっきみたいなヤツらに連れてかれたいのか?』


『……っ!』


『お前がそうしたいなら、俺は止めないぞ?』


……っの…鬼っ!!



冷たい眼差しに見下ろされ、究極の選択に迫られていると、機械的なメロディーが流れ出した。


同時にスマホが入っているポケットが震え出す。


電話……?


ディスプレイを確認するとそこには、【お父さん】の文字。



お父さん……?


今さら何の用だっての?


また苛立ちがぶり返してくる。


どうせ電話に出ても、頭ごなしに説教が始まるだけだ。


私の話なんて聞かないで、一方的に帰って来いって言うんでしょ?


そりゃそうだよね。