あと少しの時間、会長の事をもっと知りたいって……そう思ってる自分がいる。



てか、そもそもさ?私は会長に恥ずかしいトコたくさん見せてるけど、会長のそういうのって見たことがないんだよ。


何ていうか、私が知ってる会長はみんなが知ってる会長で、特段特別なものなんかじゃなくて。


仮にも2ヶ月も一緒に住んでるってのに、私はコイツのことを全然知らないんだ。


会長が左利きで、お箸は右利きってのもついさっき知ったんだよ?


この2ヶ月何をやってたんだ私は……。



「お前大丈夫か?何か今日は一段とボケっとしてるぞ?」



会長はお味噌汁の入ったお椀に口を付けながら、訝しげに半眼を向けてくる。



おい。


それって普段からボケッとしてるってことか。



まぁ、言われてみれば、確かに頭がグルグルしてるような気もするけど……。


最近、色々考えてるせいで寝付きが悪いからかな。



「……あの男に会ってからだな」


「え?」



お椀を置きながら、ボソッとそんなことを言う会長。



「お前が変なの」



えっと……あの男って……。


もしかして、滝本のこと?



「そんなにアイツが気になる?」



会長はテーブルに頬杖をついて、何だか面白くなさそうにじっと私を見つめてくる。



え?何?