すると突然、
BELOVEDのイントロが流れて
すぐに彼女と目が合い、
「ね?違うでしょ?」と笑う。
僕より隣に居た店員さんの方が彼女のテクに驚いていて可笑しかったけど。



「14万か〜」と渋っている。
店側も少々値引いた価格を提示するが
真剣に悩む姿は見てて可愛い。



「この音だからこの値段……わかる、わかるんだけど……高い」とブツブツ言いながらギターとにらめっこ。
僕はその場を離れてもう一人の店員さんを呼んだ。



もう一度言う。
僕は楽器のことはよくわからない。
でも好きなギターを見て、
あそこまで熱を上げている彼女が
僕は大好きだということ。
まだ悩む彼女に声をかける。



「うわ、芹見てよ。このケース前に欲しいって言ってたやつじゃない?」とギターケースを指差す。
こっちに来てパッと表情が明るくなったと思ったら、またガックリ肩を落とした。