喉から空気が逃げていく。

早くしろと責め立てるように心臓がばくばくとして、速度を上げていくのがわかる。



「ぁ、の……」

やっと出た声は情けないほど震えていた。


「ゆっくりでいいよ。俺逃げねぇし、言いたいって思うことを口にすれば」


初めてだった。

お母さんは早く喋りなさいと苛つかせてしまうし、お父さんは私の声を聞かずに一方的に話す。

舞花ちゃんやリュウくんが唯一の話し相手だけど、私はあまり話さないことが多い。


ゆっくりでいいよなんて言って待っていてくれる人は初めてだ。

意を決して、口を開ける。


心臓を落ち着かせるように深呼吸をして、言葉を零していく。


「わ、私」

「うん」

「……っ声……変、でしょ?」

「は?」