「星夏、俺前にも言ったと思うけどさ」


立ち止まったリュウくんに続いて、私と舞花ちゃんも足を止める。



「言わせたいやつには言わせとけ」


私が声のことで悪口を言われていたときもリュウくんはそう言ってくれた。

わかっている人はちゃんとわかっているから。と励ましてくれた。



「んでもって、守りたいものはちゃんと守り抜け」

透明なビニール傘の中で、リュウくんがニィっと口角を上げて笑う。

私はその言葉をしっかりと心で受け止めて頷いた。



「なーにかっこつけてんのよ。リュウのくせに」

「舞花は一言余計すぎるんだよなー」

「それが私なので」

「開き直るなよ」


いつも通りのふたりの会話に緊張が少し和らいだ。

背中を押してくれる人がいるってすごく心強い。

リュウくんの言う通り、守りたいものをちゃんと守るよ。


それが私にできる唯一だから。



「時には声に出さないと伝わらないことだってある。お前はずっと黙ったままでいるつもりか?」

「ううん……このまま黙っているのはいや」

「なら、怖がらずに自分の気持ち伝えねぇと。やっとできた友達なんだろ」


力強く頷く。


もう後ろを歩いていた私じゃない。きちんと並べている。

だから今度は私が大切な人を守る番だ。