結局その日は話せなかった。
で、その次の日。
あいつは学校に来なかった。
「桃佳、ユズ休みか?」
「分かんない、そうなのかもね…。」
いつもより気分が明らかに落ち込んでる桃佳。
「お前何か知ってるだろ?」
「…えっ……大空、聞いてないの?」
「なにが?聞いてないけど。」
言っていいのか少し迷ってる桃佳を連れて隣の空き教室に来た。
「言っていいのかな…」
そう言ったあと、決心した顔つきで話を続けた。
「あのね…ユズ……引っ越しちゃうの。
文化祭の次の日に。
高校も違くなっちゃう。」
桃佳の言った言葉の意味を理解することに時間が必要だった。
なぜだか涙が出そうになってこらえた。
「そうか。」
「えっ。そんなにショックじゃないの?」
「…別に。」
俺からはこんな冷たい言葉しか出てこないんだ。