私は怖くなって、一人で走って家に帰った。


『はな、どうしたの?』

私は母に、ぎゅっと抱きついた。



何て説明すればいいか、わからない。
どうしたらいいのかも、わからない。


私は母の手を引きながら、
Sくんの家のインターホンを鳴らした。


不思議そうな母達を連れて、隙間の前に着くと、

Sくんは壺の前で踊っていた。


『お母~さ~ん!僕、お金持ちになれるよ~~!!』



私は気分が悪くなった。

『はなちゃんにも分けてあげるね~~!!』

「私は、いい。イラナイ」

母の後ろに隠れながら、小さく返事をした。



『本当に~~?!じゃあ、僕だけのお金だぁ~~お金持ちだぁぁぁ~~!!!!』

Sくんは更にテンションが高くなり、もっと激しく踊り出した。



お金持ちお金持ちって、壺に入っているのは見るからに硬貨ばかり。しかも古くて泥まみれだし。。

Sくんはおかしくなってしまったの?




顔を上げると、
母とSくんのお母さんは怖い顔をしていた。




『これは、大金です。この壺は、お母さん達が処理します』

お母さん2人が話し合い、そう決めた。
警察や不動産やさん?に相談するらしい。



それから…

『それから、今後、この隙間では決して遊ばないこと』




2人は母親たちに、強く約束させられた。