蒼夜が
恵衣の財布を渡した。
「急な話で、祝儀袋がねェ。
ハダカで悪いが……
写真代だ」
恵衣が
財布から万札を、10枚ほど出した。
「え!?...いや、そんな」
「めでたい金だ。
引っ込めるなんて、
縁起でもねェ事はさせんなよ?」
「あ、ありがとうございます……」
テツヤとナナが
深々と頭を下げた。
パーティールームに、
再び花凛が入って来た。
「空いているグラスをお下げします」
そう言って、手を伸ばすと
「あ、すみません」
明らかに年上の厳つい男たちが、
トレーにグラスを集めだす。
「え?あ、あの?」
戸惑う花凛に、
”恵衣さんが自ら名前を名乗った女”
を前にした男たちが
「だ、大丈夫ですから!」
すっかり萎縮してしまっている。

