「校内。

廊下を歩いている時とか、
階段を登っている時とか
ヒソヒソ声が
聞こえたような気がして振り向くの。

でも、誰もいないの」


「なんだよ、それ。

危ねーな?」


コタが眉間にシワを寄せる。


「ユカ。

校内でも外でも、一人にはなるなよ?

今日はもう帰るのか?」


朱羽が
ユカの目線まで屈んで聞く。


「うん」


「今日は……

俺、blue行くから……

朱羽、バス停まで。」


恭弥の顔付きも真剣だった。


「ああ。分かった」


「ユカ。

降りるバス停から家は遠いのか?」


コタも
ユカの目線まで屈む。


「ううん。

スーパー丸屋の前の
バス停で降りるんだけど
今日はそこのスーパーで
弟と待ち合わせしてるから」


「じゃあ、そこのスーパーまで送る。」


「え?

ホントに朱羽くんが!?

いいよ、そこまでは」