雨上がりの草の匂いに背中を預けて、隣に寝転ぶ君の下手くそな鼻歌を聴いていた。ぎゅっと繋いだ指が汗ばんで、君が不快に思っていないだろうかと、そんなことばかりを考えていた。


「年に一度なのにねぇ」


そう呟いた君の声は、少し寂しそうな色を含んで、蒸し暑い夜の風に吹かれていった。

星ひとつ見えない曇り空を眺めながら、本当なら今日この時、この空の真ん中に浮かんでいたはずの美しい星の川を思い浮かべては、目を伏せて掻き消した。


「鵲って知ってる?」

「かささぎ?」

「天の川に橋をかけてくれる鳥なんだって」

「へぇ」


物知りだねぇ、と笑いながら目を細める君の横顔を見ていた。またひとつ吹き抜けた風が、前髪を揺らしては去ってゆく。