「なあ。」



少し低めの声が響く。



「……見た?」



「……えっと。」



「顔、見た?」



「……見てない。」



「嘘だ。」



「……。」



「見た?」



「……見、た。」



ゆっくり視線をあげると。
さっきより顔を赤くしていた。
……りんごみたい。



「座ったら?」



「……おう。」



少し横にずれてスペースを作ると。
ドカッと腰を下ろした。



「泣いた理由って、聞いてもいい感じ?」



「嫌だって言ったら?」



「……やめる。」



私がそういうと。
男の子は少し足遊びをした後。



「失恋したから。」



そういった。