眠り姫は夜を彷徨う

「とにかく、いつもの本宮くんらしくないんだって!」

そう力説するタカちゃんに、紅葉は「そうなんだ…」と相槌を打つことしか出来なかった。

「あの二人には絶対付き合ってる以前に何かあると私は見てるんだけど。そうじゃないとしても、本宮くんは何か悩み事でも抱えてるんじゃないかな?」

「悩み…」


最近、圭ちゃんとはまともに顔を合わせてはいない。朝、家の前で待っていてくれた日以降、圭ちゃんは何も言ってこなくなった。

(多分、避けられて…いるんだろうな…)


『もう、放っておいてくれて良いから』


そう言って、拒絶したのは自分だ。

あの前日の夜、圭ちゃんは出歩いている私をちゃんと引っ張って自転車に乗せて家まで連れ帰ってくれたのに。

それについては文句も言わず、翌朝には身体の心配までしてくれていたというのに。

(私、バチ当たりだ。これ以上、嫌われたくないって言いながら余計に圭ちゃんに嫌われるようなことして。まるで恩を仇で返すような真似…。ホント最悪だ…)

桐生さんの言う通りだ。

一人でいじけて圭ちゃんの優しさを突っぱねておきながら、自分が嫌いだとか言ってそこに浸っていた。

今更、後悔しても遅いけれど、そんなことしてる暇があったら、もっとプラスに…感謝の気持ちを素直に現わすことの方が大切だったと今なら思う。

『ごめんね』よりも、『ありがとう』と伝えるべきだった。


(圭ちゃん…)


今、何に悩んでいるの?

私にも何か、圭ちゃんの力になってあげられることはないのかな?

何より今、圭ちゃんに会いたい。


会って…話がしたい。