確かに、人間と妖怪の時間の流れは違うし。
私にとってのこの8年間と。
ユキにとっての8年間は。
全然違うものなのかもしれない。
「そう言えば今年は友達できたか?」
「いらないし。」
「毎年同じことを言っているぞ。
その調子じゃ、母親とも相変わらずだな。」
「いいじゃん、別に。」
「いい加減素直になれ。」
「なれるわけないじゃん。
私のユキを引き離しておいて。
許せるわけないじゃん。」
「仕方のないことだろう。
夏菜の母親は俺の事を知らないんだから。」
「わかってるよ……。」
わかってる、仕方のないことだって。
それでも私は許せない。
私とユキを引き離したお母さんを許すことなんてできない。
小学校2年生の時、都会に引っ越してから。
私はお母さんに対する態度が一変した。
必要最低限の事以外は接することがなくなって。
ユキと会えない日々は苦痛でしかなくて。
学校でも極力人と関わらないように生きてきた。
そんな姿をお母さんは見てきたからか。
夏休みの間おばあちゃんの家にいることを。
止めるようなことはしなかった。
私もそれでよかった。