頭を押さえてしゃがみこむ僕の背中をそっとさすってくる聖司。


いや、やられたのは頭だから。


ていうかハリセンの製作者はお前だろ!


無言の優しさを前にそんなことは言えず、いや、言う間もなく……




「うるっせえんだよ、このウジウジ野郎!いっぺんどつくぞオラ」


「智、もうどついているぞ」


「あ?こんなんで足りるわけねえだろうが」


冷静に突っ込みを入れる聖司に、凄んで見せる哲の言葉に耳を疑う。


まだ気が収まらないのか!?



依然イライラした様子で椅子に座り直す哲の前で、なぜか自主的に正座をしてしまう。


これが手なずけられた犬の気持ちか…。


いや、別に懐いてはいないから、躾の結果かこれは。



「おい直人」


「っは、はい!」


ピン、と背を正して上ずった声で返事をする僕に笑ってみせる哲。


目が笑っていないのがより恐ろしい…。