それは、何に対しての謝罪？


聞けずに終わる。



「気を遣わせちゃったよね」


「…？」


「だって直人くん、あんなこと言う人じゃないもん。優しい人だから」



……僕を買いかぶり過ぎじゃないか。


彼女の僕への印象がどうかという詳細は分からないけど、少なくとも、彼女が思っているほど綺麗じゃないことは確かだ。


顔を歪めた僕をじっと見て、小さく首を横に振る。


まるで、僕が考えていることが分かっているように、続ける。



「あんなこと、思ってても言える人じゃないよ。
たとえそれが悪態でも何でも、相手が傷付くのが嫌で思ってること、いつも心の中に閉まってるんだよね？何でも自分の所為にしちゃうような自己犠牲とか、陰口とかより、そっちの方がよっぽど好感持てるよ」


はっとした。



弱気だから、意見できないだけ。


大きく出られないだけ。


主張できないだけ。