結果、基本的に人を嫌うことがなかった僕だけど。
まさか、今日。
人生で初めて人を蔑むことになるとは思わなかった。
どうしてこうなったんだっけな。
考えても仕方ないことで頭を占める以外に、気を紛らわす方法が思いつかなかった。
何を言っても僕に響かないことが分かったんだろう。
唇を引き結びながらも敵意をあらわにして侮蔑を滲ませる彼女たちから、畑中さんをなんとか引き離して、見えないところまで来た。
それでも、歩みを止める気がない僕は畑中さんの手を掴んだまま、あちこち回る。
彼女も無理に止まることもなく、無言でついてくる。
何を考えているのか、先を歩く僕には表情を窺い見ることもできない。
覗き込もうとすればさぞ不自然なことだろう。
不快にさせてしまうかもしれない。


