「この子が嫌いなら、別にいいと思うよ。
他人の感情をコントロールするなんて不可能だし、僕からしてみれば君たちに好かれるほうがよっぽど可哀想だ。
だからさ、」
感情を押し込めるように、にっこり、笑ってみせる。
引きつっていないだろうか。
そうだとしても、どうでもいい。
「当事者じゃないなら、関係ないことにまで首を突っ込まないでくれる?不愉快だから」
普段の僕なら絶対に言わないこと。
絶対にしない振る舞い、態度。
中身のない、取ってつけたような笑み。
今日はきっと、どうかしている。
付き合いというのは不思議なもので、人は自分とは相入れない相手を理解した上で、意識的に避ける傾向にあると思う。
自覚があるんだから、関わり合いになる人なんかはむしろ貴重だ。
そんな中で、そういった類の相手は僕の中で自然と、苦手な対象に分類される。


