これを怒りというんだろう。
柄にもなく、怒鳴り散らしてしまいそうだ。
堪えろ、堪えろ…
心の中で唱えながら、自分を落ち着かせようと、さっきよりも長く息を吐き出す。
「それを君に言われる筋合いはないと思うけど」
「な…っ」
指摘すれば、顔を赤くして怒り顔になる。
ああ、これは色々言われるな。
直感して、後悔した。
「あんたねぇ!こっちは親切心で言ってんだけど!?」
「マジあり得ないんだけど」
「うざ、こいつも顔だけかよ」
本気で勘弁してほしい。
どうして放っておいてくれないんだろう。
不思議で仕方がなかった。
早いところ畑中さんをここから遠ざけたくて、先手を打つことにした。
「ねえ」
まだ何か言おうとしている気配がしたから、寸前で声をかける。


