「相手が何かに悩んでる。その相手の考えてることが分からない、ねぇ」


話せることは話した。



僕が彼女にあらぬ疑いをかけていること、彼女が誰にも言えない秘密を抱えていることはもちろん内緒だ。


なるべく畑中さんの秘密については広めないほうが良い。


これは彼女自身の問題であって、僕がそれ以上深入り出来ないのだから。



「にしても難しい奴だな。お前が惚れた女ってのは」


「あまり茶化すな哲」


「冗談だっつの。マジで頭固い奴だな」


哲と聖司のやり取りを横目に、これからどうしようかと考える。



一人で悩むのは僕の癖だけど、今はこの二人がいるからあまり重たく考えなくて済む。


話してよかったと思えるのは楽だ。



話して良かったな。


そう思えるくらいには心が軽くなっていた。