「良かった、いた」
数分後、金田はあたしの目の前に現れた。
息を切らし、肩を上下させて。
額には汗が滲んでいる。
…走ってきてくれたの?
そんな一つ一つのことがただ嬉しく感じてしまう。
「話があるって言うから…」
「そうなの!
文化祭、来てくれないかなーって」
あたしが言うと、金田はゆっくりと口を開いた。
「…は?」
「え?」
お互いの間に沈黙が流れる。
な、何でそんなに目を見開いてるの…?
あたし…変なこと言ったつもりないんだけど…
「話って…それ?」
「そ、そうだけど…」
すると金田は、はぁ〜と大きく息をついて穏やかに笑った。
優しいその笑顔にあたしの心は掴まれる。
「なんだ。そんなこと…
マジでびびった…」
「何だと思ったの?」
「やっぱり俺と付き合うのは無理とか、嫌になったとか…そういうのかと思った。
会って話したいとか言われたら悪いの考えるでしょ…」
そ、そんなこと絶対ありえないのに!
あたしが金田のこと嫌になるとか…
嫌になられるとしたらあたしの方だよ。
こんなどこにでもいるようなやつが金田みたいな人と釣り合うわけないんだから…
あたしより可愛い子がたくさんいる中で、あたしを選んでくれた。
自惚れてもいい?
…それとも、あたしより可愛くて性格もいい子がいたら…その子に行ってしまう?
あたしはずっと不安でいっぱいだよ。
「マジで良かった…」
覆いかぶさるようにふわりと抱きしめられて、金田の匂いでいっぱいになる。
あたしの心臓の音…聞かれちゃう。
それでもいつもより速い鼓動を遅らせることはできなかった。

