「優愛〜明日から学校で会えなくなるけど…いっぱい遊ぼうね?!」

「もちろん!
ほとんど予定空いてるから色んなところ行こっ!」





どうせバイトもしてないし、勉強も…そんなにするつもりもない。



とにかく遊びまくりたい。





暑いのに、全校生徒の熱気でさらに暑くムンムンした体育館に入れられる。



そう。学期の終わりには終業式がつきもの。


そしてながぁぁぁぁい校長先生の話もつきもの。


暑くて頭がゆだりそうなのに、早く帰してほしいのにその話が邪魔をする。



…もうぶっ倒れそうだよ…



パイプ椅子があるだけマシだけど…


背もたれにどかっともたれかかって、手でパタパタと仰ぐ。


全く涼しくない。

仰いでもくるのは熱気。



汗がツーっと背中を流れるのがわかる。



これ以上いたら熱中症になっちゃうよ…



校長先生の話なんてほとんど聞かずに、それでも





「夏休みだからといってハメを外して警察の方にお世話になったり怪我したりしないよう…始業式に皆さんの元気な姿を見られることを願ってます」





その最後の言葉だけはきっちり耳に入る。


だって、周りもうずうずしてるのがわかるから。



あーもう終わり、夏休みだー!!

授業から解放されるー!!



って疼きがひしひしと伝わるから、校長先生の話を聞いていなかったあたしももうすぐ終わるんだってわかる。





「以上で終業式を終わります」





3年生から順に教室へ帰っていく。



体育館を出ると、スッと爽やかな風が吹き抜ける。



冷たい風じゃないけど、あれだけ熱気だった場所で蒸されていたあたしの体にとってそれは救世主のようだった。