「まって……。」 そんな空気の中声を漏らしたのは奈々美だ。 「そういえばあの子。アタシに意味深な事言ってた。」 「「え…?」」 その言葉に俺と英太の声が重なる。 「それ…どういう事?」 「幸ちゃんは誰にも渡さないもんっ!…って、なんかよく分からないんだけど…言ってた。」 俺を渡さない? 一体だれにだよ…。 少し呆れている俺を横に英太は何だか深刻な顔をしている。