お気楽少女の難関場



「…小娘、お前の名は?」


「見ず知らずの人に教える義理はございません。と聞きました。」

「……くっくっ、まぁ良かろう。また聞きに来よう。」


意味わかってるのかなぁ……。
魔王の側近とやらは目の前から姿を消した。
先程もこうやってここに来たのだろうか。

顔を上げれば真ん丸のお月様。
けれどその色はほのやかに青い。
地球の月はもっと白かった。


「…。」


暫く黙っていると後ろから肩を叩かれた。
そこにはにこりと頬笑み、月の光に反射する綺麗なブロンドの髪と空色の瞳を持つ青年がいた。


「ここがなんなのか、どうして君がここに来たのかを説明します。…ですが、」

「?」

「…大丈夫ですか?」

「……え?」


青年が私の顔に手を当てたと思ったら、その青年の手が濡れている。
いつの間にか、私は泣いていたらしい。

なんでだろう……。


「…少しこちらへ。ライトはそこで寝ているそいつが起きたら介抱する様に。ルートはライトを手伝ってくれ。二人ともそれができたら拠点に戻ってくるように。」

「「御意に。」」


青年にそのまま肩を抱かれ、私は数歩先まで歩かされた。
青年は二人の返事を聞くと、指を鳴らした。

そして、次の瞬間私は先程までとは違う場所へと移動していた。
そこは温室で、月の光を浴びる花や木がきらきらと光っている。


「……綺麗…。」


「でしょう?どうぞ、こちらへ。」


温室の奥に進められて、行ってみるとそこには白いソファーが木製の机を挟んで2つ置いてある。

促され、ソファーに座って向き合うと、何故か目の前の青年は頭を下げた。


「…貴女がこちらへ無事に帰ることが良かった。」


「………へ?」