「‥‥!まて!」

「え‥‥っ」

通風口の柵に手が触れた瞬間、シュトラーフェはハウラの服を思いっきり引っ張った。

「いったた、な、なにをするの!?」

シッと指を口に当て合図する。

「今一番地下の牢を見てきた奴が、2人逃げたと言う知らせを持ってきた。」

「な、なんだと!?」

どうやら、警官が通風口の出口前をうろうろしているような声が聞こえた。脱獄犯がいることはもう勘づかれたみたいだった。

「他の囚人には平然としてろ。逃げたことを知られれば舐められる。」

「し、承知しました。」

そんな話をして、警官は去っていく。
いたって普通に見える警官だが、勘のいい囚人達から見ると少しソワソワしていた。

「げぇ‥‥、バレてんじゃねーか。」

「バレずには無理よ。一応見張りが来るもの。」

「計算内ってことかよ。」

「でも、まぁ、さっきのは危なかったわ。少し出口が見えて先走っちゃって見えていなかった。ありがとう。」

「‥‥ふんっ、別に。」

そっぽを向くシュトラーフェはなんだか顔が赤くなっていることにハウラは気づいた。

「あなた、顔赤いわよ?まさか、熱とか言わないでしょうね‥‥」

「うるせぇ!!余計なお世話だっつーの!」