「は?お前、人殺したことねーの?」

「ないわよ!あるわけないでしょ!!」

ハウラは「何でもかんでも捕まっている人が殺人犯ってことはないのよ!」とシュトラーフェに反抗する。

「まぁ、なんでもいーけど。俺には関係ねーし。」

そう言って、シュトラーフェは思いっきり立ち上がり、スタスタと路地の奥へと行ってしまう。それをハウラはぼうっと眺めていた。

「なにしてんだ?」

シュトラーフェの声でふと我に返った。

「え、何って‥‥」

「行くぞ。」

「‥‥えっ?」

シュトラーフェは「あーっ!」と大きな声を出し、ズカズカとハウラの元まで戻ってきて、座っていたハウラの腕を引っ張りあげた。

「な、なによ。急に‥‥」

「俺は、カデナ・シュトラーフェ。カデナでいい。ハウラ。今度は俺に"黙って"ついてこいよ。」

シュトラーフェはイライラしていて、けれど、彼なりの真っ直ぐな気持ちをハウラに伝えた。ハウラはいきなりの姓の呼び名とその言葉にどう返事をしたらいいのか戸惑う。

「なに。私に刑務所の恩を返すつもり?それなら別にいらないわよ?」

「そーじゃねー。俺が、もしお前にあったら連れて来て欲しいって前から言われてた奴がいるだけだ。悪いかよ‥‥」

シュトラーフェの話ににハウラはクスッと笑いながらこう答えた。

「ふふ、いいわよ。」

《だって、犯罪者に予定なんてないもの。》