「ハァハァ‥‥やっと出られたな‥‥」

「なにへばってるの?連続殺人犯と聞いて呆れるわ。」

「ハァ‥‥うるせぇ‥‥。体力の化け物野郎に言われたくねぇな‥‥」

"たった"5メートルちょっとの壁を登っただけで、こんなにも疲れる犯罪者がいることにびっくりするハウラを横目に、シュトラーフェは肩で息を整えていた。

「ほ、本当に苦しそうね‥‥?少しここから離れた所で休憩しましょう。」

ハウラはシュトラーフェの歩くスピードに合わせて、刑務所から離れた路地裏に身を潜めた。椅子や、ベッドがあるわけではないので、コンクリートに座る。

「だ、大丈夫?」

「あぁ、べ、別に。疲れてねーよ。」

「嘘つきね。あなた。」

ここまで逃げてくる間に、ハウラはいくつかシュトラーフェのことを知ることが出来た。ひとつはこの正直ではない所。もうひとつは体力があまりないこと。

「お前、俺をここまで連れてくるとか、俺が刑務所で警察官を殴り飛ばした時、死を恐れてるっつーか、なんつーか、殺人鬼っぽくねーよな。」

「私は殺人鬼ではないもの。あなたと一緒にしないで。」