「矢野…呼ぼうか?」 今日もまた、うさんくさい笑顔を振りまいている矢野を指さした。 咲季は首を横に大きく振ると、 「大和に…。今は…大和じゃないと、…だめなんだよね」 咲季の言っていることがいまいち理解できなかったけど、美佐子が俺を必要としているなら仕方ない。 「…あいつは?」 「体育館…裏…」 「わかった」 矢野とケンカでもしたのか? くだらないことに俺を巻き込むなよ。 そう思っていた俺も、気付けば全速力で走っていた。