運動が苦手な子三人が、運動場の倉庫の後ろに隠れた。
その周辺を私は哨戒していた。


「大丈夫?」


「はい、少し狭いですけど、すぐに出る準備をすれば逃げられます……が」


「どうしたの?」


「もしも捕まりそうになったら、降参させてくれませんか?」


降参って……そんなのあり!?一緒に隠れていた二人も動揺していた。


「捕まっても大丈夫なのか確かめます」


「全員が生き残るって言ったのに、そんなこと許可できるはずが……」


「岩手さん、走ってきてる!」


いち早く足音に気付いた天野さんが声をあげ、ここから出ようとする。私はギリギリまで接近して食い止めようとした。


二人は固まって逃げる。けど、男子は逃げ遅れたらしい家頼さんに食いついた。


「降参です」


家頼さんは走るのをやめ、両手を上げた。
二人は立ち止まったけど、私は手を払って、行きなさいと指示を出した。


本当に降参した……。私は静かに二人の方へ行きながら見ていた。


家頼さんは男子の指示を聞いて、体育館の方へ向かう。
二人は守らないと……私は男子の前を遮った。男子は私を追いかけ、二人からどんどん離れた。