朝食のおかげでぱっちり目が覚めた。身支度をしてから、リュックサックを背負って玄関に向かう。


「いってきます」


「いってらっしゃい」


いつもより力をこめて言ったのに、お母さんはいつものことのようにちらっと見てから去っていく。
お母さんは知らないもんね。


これで帰ってこなかったら泣くんだろうな。
二人の家族を想像すると胸が締め付けられる。もう泣かせない、皆も、皆の家族も。


追い風が私を鼓舞するかのように吹いた。