ピピピッ……。目覚まし時計の電子音が私を起こす。
起きるのが億劫だ。意識はあるのに体が動かない。まず右腕を僅かに動かした。眠気という重石が少しずれた気がする。


そして時計に手を乗せ、ぐたっと体重をかけた。
ふう。私は時計から手を離し、ベッドに手を乗せる。ぐっと力を入れ起き上がる。


あくびをしてから目を擦る。目が完全に開かない。朝の空気と日光を目が拒否している。
ほぼ目を閉じた状態で記憶と壁についた手を頼りにリビングへ向かった。


「おはよう」


「おはよう……」


リビングまで来ると目が開くようになってきた。口をほぼ動かさず、のどだけで声を発した。口を少ししか開いてないから声がこもっていた。


お母さんが机に皿をのせる。目玉焼きとベーコンと半分に切ったトーストがある。その周りにサラダと空のコップが置かれた。


「何飲む?」


「牛乳」


中学三年生にもなれば、女子はほとんど背が伸びないと考えられている。けど私は諦めない。百五十一から少しでも伸ばしたいんだ。それに骨も強くなるし。


お母さんは紙パックの口を開けると、たぷたぷと注いでいく。


「いただきます」
 

私は手を合わせてからベーコンを口にした。