「宗路ー」


「あっ、早いね。中学の卒業式は短いの?」


「色々あってな」


他愛もないことを話しながらスーパーまで歩く。
中の自動ドアのすぐ隣に細長い自販機が立っている。


「新しいのになってる。新しいレア六種と昔のカードが混ざってるって」


「これは……殲滅火龍サラマンデスだ!よし、引くぞ!」


この弾は今までの総集編らしい。サラマンデスは一弾の最高レアで、何度引いても出なかった。ショップでも手が出ない値段だったから、この弾で引くしかない!


念を込めて百円を投入する。
飛び出たカードを引き抜いた。


見慣れたコモン、持ってないレア……次は最後のカードになり、期待は薄れた。
なんか違う気がするんだよな……。


一枚を後ろに回すと、あの頃のようにキラキラと光るカードがあった。



初期の主力、そして、あいつと俺を繋げた……機銃龍祥瑞。


縁のデザインだけ違うけど、入手したばかりの時のキラキラした姿を思い出させた。


「おっ、Sレア。欲しかったの?」


「そうだな、思い入れのあるカードでな……」


祥瑞の一番輝いていた時がこの手にあった。