後ろの窓を覗くと、同じ制服を着た生徒が歩いている。今ごろ卒業式延期の話題でもちきりなんだろう。
千代田のスマホの通知が鳴った。


「先生は全員捕まったらしい」


正直ホッとした。報復にくるんじゃないか……と思ったりもしたから。


「極刑だね」


「わからんぞ。精神鑑定がどうのとかあるしな」


千代田が言うと、仙道はそれがあったかと呟いた。
動機も謎の大量虐殺だ。普通の状態で出来ることではない。何かが見つかるかもしれない。


「生き残れたな」


「生き残ってしまったね」


千代田と仙道が顔を見合わせた。


「俺たちが逃げている間に五人殺されたらしい」


その一言で罪悪感がどっとわいてきた。


「そういえばあの子は何組だ?」


「四組」


「四組か。前から面倒なことになってた組だな。教室は地獄絵図だろうな」


「うん、絶対輝石に押し付けようとした。きっと自分が生き残ることしか考えてないよ」


四組は女子の仲が悪かった。転校してきてすぐリーダーになった垣森は性格が悪く、前のリーダーと対立していた。そして気に入らないからと一人の女子を仲間はずれにした。
仲間はずれにされたのが輝石だったのか。


「うざいからとか言ってたけど、絶対輝石に嫉妬してたよ。いじめられてるところを見つけたらすぐに止めてた。けど、あいつら聞かないんだ。女子と話すときとは違う、甘ったるい声で言い訳してきた。先生に言ってもいじめは続くし……腐ったクラスだった」