前駆たちの望み

階段を降りると下で騒ぐ声が聞こえる。


「何だもう暴れたやつがいるのか」


千代田がスマホを取り出す。仙道は目の前にいるから仙道じゃない。
駆け降りると修羅場が広がっていた。


「君、聞こえるか!」


目を閉じ横たわる女子は切り傷だらけだ。床に落ちているナイフでやられたのか。


外でも中でも通報する人がいる。


「他の生徒は近づかないでください!」


PTA役員の紙を首に下げた人が俺たちを遠ざけていく。


「警察がくるな……」


「暴れる必要はなくなったってことか?」


「いや、先生が逃げるかもしれない。それを食い止めるぞ!」


鬱蒼としげる林を思い出し、非常口から靴も履き替えずに外に飛び出す。
途中落ちていたモップを拾い、林を目指して走る。


「おい、教室に戻れ!」


昨日の体育教師が焦った様子で追い払おうとする。
それをモップで薙ぎ払い、千代田と仙道を先に行かせる。


古びたロッカーがある。それを開け、一旦離れる。


「大人の言うことを聞けないようじゃ、社会に出てやってられんぞ!」


うるさい!
俺はロッカーの方に追い立て、モップで一突きした。
先生はよろめき、ロッカーのふちに頭をぶつけた。
古く安定していないから、ばたんと倒れかかった。


流石にヤバイから腕で止めると、中身がボロボロ落ちてきた。


「ぐあああ!何なんだよぉ!」


中身をしっかり見たらしい。
血がついた砂が入った袋や、吹き飛んだ体の一部があった。
ロッカーを立たせ、すぐに目をそらす。


走って林に着くと、二人が土を掘り起こしていた。


「スコップは?」


「すまん、二人分しかない」


千代田がスコップに体重をかけながら答える。
鼻につく異臭が掘り起こすことで強くなっていく。


「ここからします!」


警察がやってきた。
土を掘るスピードが上がる。制服が現れたからだ。


掘り進めると、綺麗な指が現れた。
日焼けした肌……間違いない。あの子だ。


上半身がほぼわからなくなり、肉と泥が混ざっている。


それでも仙道は抱き上げ、声を上げて泣いた。


「周囲を掘り起こすから、ここから離れてくれるかな?」


警察官が仙道の肩を叩き、離れようと言った。


「第2ボタン、渡そうと思ってたんだ」


返事をあげることもできなくなったあの子の手にボタンをのせた……。