仙道の家が見えてきた。そこで千代田に止められた。


「先生がいるな。こうなることを予測したのか……?」


玄関の前で先生が立っていた。体育の岡島だ。
帰れ、帰れ!建物のかげで念じる。


「どうする?別のところにするか?」


「二人の家は遠いし、二人とも、所持金は?」


「ゼロ〜」


「ははは。この僕が百円以上を持っていると思ったかね?」


「それじゃ文房具も買えないね。らちがあかない。ちょっと話つけてくる」


仙道が家に向かう。
仙道は先生に話しかけた後、腕を掴まれ中に引き込まれそうになる。
しかし仙道が大人しくしているはずもなく、容赦なく背中に一撃食らわせた。


すると仙道は、腕にガムテープを巻かれ中に放り入れられた。


「うわぁ無慈悲だな。剥がすとき痛いぞー」


「どうするんだよ。仙道が捕まるって……」


本格的に焦りがこみ上げてきた。下手に動くとばれるかと思い恐る恐る後退りする。


あ、先生がこっちに来た!
二人で走って逃げようとしたけど、遅れた千代田の足に棒が当たる。


「千代田!」


「止まれ、抵抗しない方がいい。卒業式前に歩けなくなるぞ」


そのまま地面に這いつくばり、ゆっくりと振り向く。先生の視線と千代田の恨みを込めた睨みがかち合った。