階段を降りているとき、仙道が急に駆け出した。


「何だよ仙道!何かあるのか!?」


俺が追いかけると廊下で立ち尽くす仙道がいた。
廊下には積まれた段ボール箱と歩く女子がいた。


「何だよ……」


「そういうことか」


千代田はにやにやしながら後退りする。
柱の裏に隠れ、仙道を見る。これは俺も隠れるべきなのか?


「仙道、あの子を助けるのか?」


「まあ必要な事態になればそうなるな」


仙道、何もしないじゃないか。あえて距離を取っているのか?


「けど、今のところ先生もいないぞ。仙道は何がしたいんだ?」


「まあ、助けるためだけに見てるのではないな」


あごに曲げた人差し指を当て、意味深な発言をする。


「カラカラを卒業できない能取にはわかりづらいことだな」


「カラカラをバカにしやがって!」


千代田の足を踏もうとしたけど、千代田はさっと足を引っ込めた。


「……まずい!」


「おい!」


千代田が急に柱から飛び出し、走る。
近付いていくと、さっきの女子が先生に殴られているのが見える。


仙道は先生の後ろにまわり、拳を振り上げた。
振り下ろす直前に千代田は仙道を突き飛ばした。


「ほら、あんたがぐずぐずするから二人がぶつかったんじゃないの?さっさと直してれば道を塞いで迷惑をかけることもなかったよね?」


髪を引っ張り上げ、ザクザクとハサミで切る。


どういう状況だ!?取り合えず穏やかなオーラを出しながら聞けばいいのか!?
泣いて謝る女子と、これまで感じたことがないほどの殺気で混乱する。


一歩間違えればすぐ殺しそうな先生に、どうしたんですか?と聞こうとした。


最初の言葉も発する前に、誰かに腕を掴まれる。
強い力で後ろに引っ張られた。


待ってくれ……!
手を伸ばしたとき、爆発した。俺の大きく開いた手の先で人が死んだ。


直後に体を打ち付け、強い痛みが走った。