「教室の後片付けは女子がやってね~」


誰がするか決まると、先生がそう言い残してドアを閉めた。女子がやってと言われたことだし、私は二人の席の近くだった。


よく見ていたクラスメイトのことを躊躇うなんてできず、椅子にぶら下がっている雑巾を持って、床を拭いた。


「おい青葉!綺麗なやつ使えよ!」


深見が新品の雑巾を投げたのでキャッチする。
後片付けを、女子は総出で、男子たちも動き出し、新品は大掃除で残り少なくなっていたから足りなくなってくる。
だから、できるだけ綺麗な雑巾を探して使う。


せめて綺麗なので拭くんだ。死後もひどい扱いを受けるなんてことがあってはいけない。


血が染み込んだ雑巾を見て、そう強く感じた。


そこに、透明でキラリと光った滴が落ちた。
じわっと広がり、赤が濃くなる。